弓道部のアイドル系美少女と僕と韓国人11
🕑 Added 2021-07-13 13:11:57 +0000 UTC
春人と奈緒、そして佐々木と亜里沙は、それぞれのやり方で仲を深めていった。最初は4人で遊ぶことが多かったが、それも次第に2人同士で遊ぶようになり、はたからみればカップルとも思えるような仲になっていった。当然、その仲の良さは弓道部だけでなく、学校でも有名になり、春人と佐々木は鼻が高かった。実際にはまだ付き合っていなかったのだが。
KPOPを媒介として仲良くなった彼ら彼女らの話題は、自然とKPOPになることが多かった。そこから、韓国の料理や、化粧品の話に派生することもあった。話題の半分は韓国のこと、もう半分は学校のことなどで占められていたと言って良い。
ある時、春人と奈緒が二人で部活終わりに帰宅していると、奈緒が春人にこう聞いた。
「春人先輩は彼女欲しいって思わないんですか」
この質問は、後になって考えてみれば決定的な質問のようにも思えたが、当時の春人は奈緒との親密で穏やかな関係を崩してしまうのを恐れて、当を得た反応をしなかった。
「そうだね。彼女欲しいって思うこともあるかもしれないけど、受験のことも考えなきゃいけないしね。部活ももう引退だしさ。うん、もちろん欲しいけど、そりゃあ、ね。奈緒ちゃんはどうなの?」
玉虫色の春人の返答に、奈緒もまたはっきりした答えを返すことはできかねた。
「そうですね、私も今は部活に集中したいかなって。でも、彼氏ができたらどんな感じなんだろうって思うこともありますけど。私、今まで誰とも付き合ったことがないので」
「そうなの?」
「そんなに意外ですか?」
めんくらったような春人の顔に奈緒は思わず笑いそうになってしまう。
「いや、奈緒ちゃんすごく可愛いしいつもニコニコしていて性格も良いからてっきり今までにも彼氏がいたのかと思ってた。そうなんだ」
安堵が春人の心の中にじわりと広がっていく。そうか、奈緒ちゃんはまだ誰とも付き合ったことがないのか。もし来年、自分が大学に受かったら、自分が奈緒ちゃんの初めての男になりたい、春人はそう思った。
一方、佐々木と亜里沙も彼ら自身のやり方で距離を詰めていた。
「亜里沙ちゃん!ほら、CCIの初回限定版CD手に入れたよ!」
「遅いって〜!私なんて昨日もう手に入れてるから!」
「え!?なんで?発売日って今日じゃないの?」
「近所のCDショップで前日から販売してくれるところがあるの。秘密でだけどね」
「さすが亜里沙ちゃん!将来は転売屋かな!」
「うるさいって。もう、早く新曲一緒に聴こう」
佐々木と亜里沙は近頃お互いの家を行き来することが多くなっていた。もちろん、付き合っていない彼らにはやましい関係など一切ない。ただ純粋に、好きなKPOPの話をしたり、学校であった面白いことの話をしたりしているだけだ。
「ねえ、佐々木」
この頃は「くん」付けもなくなり、「亜里沙ちゃん」と「佐々木」でお互いを呼びあっている。
「どうしたの?亜里沙ちゃん」
「あのさ、私、佐々木のこと好きかも」
「え?」
サバサバした亜里沙らしい、サバサバした告白。人生で最高の瞬間が、こんな風に不意に訪れることをまったく予期していなかった佐々木は、「え?」と戯けたような顔をしてもう一度亜里沙に聞き返した。
「だからぁ、私は佐々木のことが好きになっちゃったの」
先ほどよりは少し顔を赤らめた亜里沙が、未だ動揺している佐々木に2回目の告白をする。
「あの、嬉しいよ。俺もずっと亜里沙ちゃんのこと好きだったから」
「うん。なんとなく気づいてた」
そう言ってようやく亜里沙は笑った。初めて亜里沙の部屋で4人でCCIのライブを観てから3ヶ月。ようやくここに一つのカップルが誕生することになった。
「これからもよろしくね」
亜里沙は背中から佐々木をぐっと抱きしめる。佐々木はその両手を取ってぎゅっと握った。