峯雲の渋滞フン闘記
🕑 Added 2020-12-10 18:07:25 +0000 UTC
峯雲が村雨と提督とお出かけで渋滞にあい、便意を催すお話。
冒頭先行公開です。
夕立のおむつ事件からしばらくたったある日のこと。執務室で村雨は提督と話をしていた。
「え?お出かけ… ですか?」
「ああ。村雨にはとっても世話になったから、休日に車でも出してショッピングモールに遠出でもしようかと思ってな?」
提督は夕立のお世話係をしてくれた村雨をねぎらう目的で、彼女をドライブに誘っていた。
「え、そんな! 私なんかのためにいいですよ!」
「いや、自分もちょっと用事があったし。一人だといかんせん道中ヒマでな。話し相手でも欲しかったからちょうどいいと思ったんだ」
「そんなことなら、お言葉に甘えて…」
まだ少し申し訳なさそうに遠慮していた村雨だったが、一応提督の誘いにありがたく乗らせてもらうことにした。
「ああそうだ。一緒に連れて行きたい人がいるなら数人なら乗せられそうだけど、誰かいたりするか?」
「えっ?! 二人じゃなくていいんですか?」
「ああ、別に構わないが…?」
(てっきりデートのお誘いだと思っちゃった…///)
「ん? 村雨、どうかしたか?」
真っ赤になる村雨に提督は怪訝そうに尋ねる。
「い、いえ。何でもありません! そういうことなら…」
村雨は一人の艦娘の名前を口にした。
「…で、私ですか。」
「そうなの。お見舞いの時夕立ちゃんの片付けを手伝ってくれたから、ちょうどいいかと思ったんだけど、どうかしら?」
村雨が出した名前は朝潮型駆逐艦の『峯雲』。夕立が大量の下痢をしてしまっておむつから大量にあふれるほどのお漏らしをしてしまった時、偶然お見舞いに来ていて夕立のお漏らしの片付けを手伝ってくれた。その借りがあったため峯雲もねぎらってあげようと思い、彼女も誘ってみたのだった。
しかし峯雲にはある懸念があった。
(大丈夫… だよね?)
じつは峯雲は便秘になっており、何日もうんちをしていなかった。
もしも車の中にいる時にでもお腹が痛くなってしまったらどうしようと頭に少し浮かんだが、大好きな村雨からのお誘いということもあってそんな懸念は頭の隅に追いやることにした。
「村雨さんのお誘いとあらば是非!」
「ふふ、よかった…!」
そうしてお出かけ当日。
「んんん…っ」
峯雲はトイレで何とか車に乗るまでにお腹の中にパンパンに詰まったうんちを何とか体外の排出できないかとトイレに籠り、必死に腹筋と肛門に力を入れて排泄しようと試みるがいっこうに肛門に居座る茶色い栓は動こうとしてくれない。
ぷす… ぷぅぅ~
「はあっ はあっ うんちでない…」
いくらいきんでも、ガスが隙間風のように出てくるだけであった。
峯雲はぽっこりと膨らんだお腹をさすりながらぼやくが、自身の身に着けていた腕時計の時間を見て驚いた。
トイレに集中して気付かなかったがもう時間は予定時刻ギリギリに迫っており、せっかく誘ってくれたのに遅刻するわけにはいかないと慌ててスパッツを上げトイレを後にした。
「峯雲さんは… あ、来ました!」
「はあっ はあっ 間に合い、ました…」
ガレージで待っていた村雨と提督のもとに峯雲は息を切らして駆けてきた。
「もう峯雲さんったら、走る位ならちょっとくらい遅れてもかまわないのに…」
「いえっ そんなっ わけにはっ」
峯雲は大きく呼吸して息を整えながら返事をする。
峯雲の呼吸も落ち着いたところで三人は車に乗り込み、いざショッピングモールへ出発した。
楽しい旅路は何も問題なく進んでいた。
朝食からしばらく経ち、少し小腹が空いてくる時間になって村雨は突然とあるものを取り出した。
「峯雲さん、パン食べる?」
「あ、ありがとうございます! んむっ… おいひい!」
「でしょでしょ?! 昨日萩風さんに教わって作ったパンなの! おいしいし栄養もしっかり摂れて、お腹にも溜まるから糧食にもできるすぐれものなんですって!」
村雨が持っていたのは萩風から教えてもらったパンだった。
萩風は健康に関して大きな関心を寄せている艦娘の一人であり、このパンも彼女が考案したもので生地にオオバコの粉末を始め色々な野菜をふんだんに盛り込んだ腹もちのいい、そのうえ色々な栄養が一気に取れるパンだった。
「へえ~ そうなんですか!今度私にも教えてもらえませんか?」
「ええいいわよ。 提督もいります?」
「ん? ああ、貰おうかな」
三人は車内で会話に華を咲かせ、そうしているうちに車は高速道路へ入っていった。
「その時、明石さんに扉を閉められちゃって―――」
「ほんと災難でしたね―――」
「え、俺その話知らない…―――」
車はすいすい進み、長時間のドライブの末にショッピングモールへとたどり着いた。
「んん~っ! 着いたぁっ!」
ずっと車内にいて身体が強張っていたのか、峯雲が車を降りてそうそうおもいっきり伸びをする。
「さあ、お買い物いきましょ!提督!村雨さん!」
峯雲も少し発育は良いが年相応の少女だ。普段深海棲艦との戦いに明け暮れ一日一日を噛みしめている彼女らなら特にかわいいものには目が無いしおしゃれもしたい。
そんな彼女だからこそ鎮守府から遠くの場所にオフで行く機会もあまり無いことから、はしゃいでしまうのも当然だろう。
「こらこら、あんまり急いじゃだめよ。 ふふふ…」
「峯雲は元気だなあ。さて、何から回るか?」
「え?提督のお買い物からでいいですよ…?」
提督からの問いかけに申し訳なさそうに答える。
「いや、自分はついででいい。今日はお前たちの買い物がメインだぞ」
「そんな、とんでもないですよ。私は提督の外出に付き合ってるだけですし…」
「まあまあ、自分はいつでも外出できるんだから、こういう日くらい思いっきり羽を伸ばせ」
「提督がそこまで言うなら…」
村雨は提督に根負けして、自分の買い物を思う存分楽しむことにした。
「ほら峯雲さん、これなんかどう?」
「わあっ! かわいいです!」
「えっと… どれにしようかな…」
「私はこれにするからはんぶんこしましょう?」
「提督、これなんかどうですか?」
「いや、グラーフさんならこっちの方が似合うんじゃないですか?」
「こ、こっちはダメか?」
「「それはないです!」」
かわいい洋服をいっぱい見て、おいしい料理に舌鼓をうち、提督の用事も終わらせて満足した三人。
辺りもすっかり暗くなってしまった頃に帰りの車に乗り込んだ。
「あーっ! 楽しかったー!」
「ほんと峯雲さん、ずっとテンション上がりっぱなしだったわね。それにしても提督ったら…」
「ん?どうかしたか?」
「グラーフさんにプレゼントなんて、案外可愛いとこあるじゃないですか!」
提督の用事とは、当鎮守府の最高練度を誇る第一艦隊を務める六隻のうちの一人。百合コンを除いたら初めてのケッコン艦であるGraf zeppelinの進水日のプレゼントを買いに来たのであった。
「グラーフには今度の作戦でも活躍してもらうつもりだし、今一度彼女に指輪を贈ったって意味を再認識したかったってのもあるな。 最近はアイオワの方ばっか向いてたから、グラーフには苦労をかけたな…」
「まあそうですね… グラーフさん、一回バーで酔っぱらって『アトミラールはもう私のことは好きじゃなくなってしまったのか!』なんて泣いてたこともありましたし、きちんとグラーフさんのことも見てるって言ってあげた方が良いと思いますよ」
「そんなことが…」
提督の声色が弱弱しいものになる。
自分から指輪を渡しておいて、半ば乗り換えたように他の艦娘へ指輪を渡してしまった事にかなり負い目を感じていたようであった。
「でも提督。私たちがいなかったら、大変でしたね。 まさか提督のセンスがとんでもなく酷いなんて思いませんでしたよ…」
「いや~ そこは本当助かった! やっぱり女性の視点からものを見てくれるから、どんなものを喜んでくれるか分かって勉強になった。今日は本当にありがとうな」
「こちらこそ、私たちを誘ってくれてありがとうございました! 本当にたのしい一日でした!」
村雨は雰囲気を明るい方向へ持っていこうと話題を変えた。
そうこうしているうちにも車は高速道路をどんどん進んでいくが、前方の暗闇に赤い光が何個も見えてきた。
「これは…」
車が止まる。提督のナビには赤文字で『交通事故』の文字が浮かんでおり、ちょうど車が進んでいた道で事故が発生したことを受けて通行止めを食らった車たちで大きな渋滞が発生していた。
「あちゃー。 これは長くなるかもしれないな…」
提督がかったるそうにぼやく。
「しょうがないですね、遅くなっちゃいますけどじっくり待ちますかー」
提督は大淀と秘書官勢に連絡したのちハンドルを握りなおす。
「二人とも、トイレとか大丈夫か?」
「もう提督ったら、女の子にそんなストレートに言うもんじゃないわよ。まあ、私は大丈夫だけど」
「わ、私も大丈夫です」
「まあ体調が悪くなったら言ってくれよ。サービスエリアにはしばらく行けそうにないから、心配だっただけだ」
車か少しづつではあるが、着実に進んでいた。そんな車内だったが、峯雲の様子が少し変だった。
何度も座り直したりお腹をさすったり、挙動不審で落ち着きが無いような動きをしていた。
(どうしよう… うんちしたくなってきちゃった…)
朝方いくら必死に気張ってもうんともすんとも言わなかった腸が活発に動き始めたようで、腸内にギッチギチに詰まった排泄物を出口へと押しやり始めたのだった。
峯雲の腸が活発に動き出した原因は、萩風直伝のレシピのパンにあった。
生地に練りこんだオオバコはいわば食物繊維の塊で、水分を含んだら膨張する特徴を持っているためダイエット食に多く用いられている。
そのため峯雲は多くの食物繊維を一気に摂取したことによって、それらのものが消化されないまま腸に達することで腸を活発にさせてしまったのであった。
そんなこと峯雲が知る由もないが今は渋滞を抜けてトイレに行くために、腸に感じる違和感が大きくならないことを祈る事しか彼女にはできなかった。