[支援者限定]58の放った長い槍
🕑 Added 2021-06-30 14:19:28 +0000 UTC
引っ越しとかで投稿ギリギリになりました。
ちょっと短めですが申し訳ありません…
[以下本文]
静寂の世界。
ここに音は存在しない――
暗闇の世界。
ここに光は存在しない――
水の世界。
ここに酸素は存在しない――
コーン… コーン…
静寂な暗闇を裂く、単調な音。
人無き世界に潜む12の眼光。
その猛禽類のような光が指し示す場所は1点。
ただただ、迫りくる獲物を狙う目だった。
水の中のプロフェッショナル、潜水艦娘。
一時期はとある海域にて資源輸送に務めていた彼女らも、今は唯一無二の水中部隊として日々通商破壊に精を出している。
「ヒドラ1よりパック全体へ。潜望鏡深度まで浮上。各員ベント開くでち…」
「了解。浮上開始…」
1人の呼び声に皆が呼応し、それぞれ6匹の鮫は空と海の狭間へと向かってゆく。
「敵水上艦無し。各員浮上でち!」
辺りを伺ったのちに水面へと顔を出し、各々が空気を取り込み始める。
「っぷはぁ! あ"ー、生き返るぅ〜!」
「イヨちゃん、あんまりはしたない声は…」
各々が休憩を満喫する中、旗艦の伊58はなにやら神妙な顔つきだった…
(まずい… この調子だと…)
水面下で見えないが、左手は腹部を擦っている。
(今日あたり「クる」かもしれないでち…)
彼女はトイレに行きたかったのだった。
潜水艦娘は基本的に小は垂れ流す。水中なのを良いことに、海の中で括約筋を緩めてバラスト水を放出する。
大も隠語で「餌やり」と呼ばれ、水中でも水着の股部分をずらして内容物を大海原にゆっくりぶちまける。
しかし潜水艦娘は長時間水中という極限状態に晒される事より、かなりカロリーを消費する。そのため食べる量がおおければそのぶん出す量も相当なものになり、小型の潜水艦娘でも時たまトイレを詰まらせる程だ。比例してトイレに要する時間も長い。
そしてこの行為は長時間特定の場所に拘束されるため、近くの深海棲艦に補足されるリスクを孕んでいることから装甲の薄い潜水艦にとっては格好の的になりかねなかった。
前回僚艦の呂500がお腹を壊してどうしても我慢できないといい、腸内で暴れまわる土石流を海に放出した。そうしたら10分もかからないうちに、哨戒中の水雷戦隊に見つかりさんざんな目にあった。
そうした経験からか、できるだけ我慢して鎮守府で用を足したかったのだった。
しかも58はここ1週間便通が無く、水着の上からでも分かるくらいにぽっこりと膨れあがっていた。
それに昨日も明日出撃があるからと伊400によって振る舞われた大盛りのコーン入りバターライスを3杯も食べた。
艦娘は胃腸が強いとはいえ食べたものが消えるわけではない。食べたものは大腸で押し固められ、彼女の腹部はまるで鉛が入っているかのようにずっしり重くなっていた。
(まあ、あんまり強い訳でもないから間に合いそう…)
「このまま潜望鏡深度にて航行。もう2隻でノルマクリアでち!」
「がんばるぞー!」
「各員潜航!」
深い海とは違い水面下は太陽が眩しい。
輸送艦の撃沈が任務であることから南西の水が澄んだ海域に来ている。
「ーっ! ヒドラ3よりヒドラ1、逆探に感あり。約5km先、11時の方向。数は12。」
「了解、戦闘態勢!斜型陣にて魚雷発射準備!」
潜水艦たちの目の色が変わった。先程までの気の抜けた表情はどこへやら、辺り一面に殺気立った雰囲気が漂う。
「発射管開け!一斉射!」
音もなく航跡も無く、それこそまるで大型の魚のように敵艦へ吸い込まれるように突き進む魚雷たち。
そして―
「3、2、1…今っ!」
何度も立て続けに腹部を震わせるような鈍い爆音が響く。
「ひゃー、すっごい音。ヒトミ、何隻やったのね?」
「ちょっと待って… ええっと、大小合わせて計8… 待って!こっちに1隻来てる!大きさから…駆逐艦!」
近づいてきた深海棲艦は潜水艦の天敵である駆逐艦。それもflagshipだった。58は急いで呼びかける。
「目視にて確認! 撃沈艦は戦艦1正規空母1軽巡1駆逐1、あと残りは輸送艦でち! 各員急速潜航!ベント開け!」
皆熟練のサブマリンだけあって潜航も手慣れている。各々がぶつからない進行方向でスピーディーに潜航を始め、あっという間に海の底へと潜っていった。
コーン… コーン…
「輸送艦艦もノルマ達成したし、もう帰るでち…」
「ふぅ… 今日もつかれたのね…」
また暗闇の世界へと戻った艦娘達。
周りの音だけが頼りのこの世界では、ささいな音の違いさえ敏感になる。
無音の空間に、とある音が響いた。
ぐるるる…………
一斉に一方向を見る。その先にいるのは58だった。
僚艦のみなが一斉に吹き出す。
「あははは! 58ったら、こんな時にお腹の音なんて!」
「イヨちゃん、笑ったら… ふふふっ…」
皆が一斉に笑い出して、発端となった58は眉をしかめる。
「も、もう!おなかくらい―――っ!」
他のみなには見えないが、58は青ざめて腹部と臀部に手をやった。
ぎゅりゅりゅるる… ころろろ…
また鳴った。
「あの… もしかして、おトイレ…?」
58はか細い声で「う…うん…」と答える。
それを聞き、心配そうに他の艦娘が尋ねた。
「我慢できる?それともここでしちゃう?」
「が… がまんする... でち…」
「わかった。ガマンできなくなったら言ってね。その時は対処するから」
皆熟練の潜水艦だけあって、深海での便意にも慣れている。
深海で排泄したら水圧で一気に海水が入ってくるため海面まで浮上する必要がある。そのためもう限界となったら、浮上して近海を警戒しながら用を足してもらう。
鎮守府までの道のりをゆっくり進んでいく。
ぎゅりゅりゅ… ぐりゅりゅりゅりゅっっ!
「んっ... くっ、ふぅっ…!」
(お腹痛いよう… うんち、うんち出ちゃうよう…)
時たまお尻を押さえている指の隙間から、ごぼごぼと音を立てながら気泡が上へ上へと昇っていく。
「ごーやちゃん、もう浮上しよ? 間に合わなくなっちゃうよ!」
「まだっ!もう… もうちょっとだけ。バッテリーが残ってるから…」
「ダメ!もしここで決壊しちゃったら、ゴーヤが死んじゃうのね!」
「?! あっ… ああぁぁ……」
伊19の鋭い言葉に少しビクッと反応した。そしてそのはずみで肛門の栓が緩んだ。
みちっ… と粘度をこねるような水っぽい音が響く。
「まずい! しおい!そっち持って!」
慌てた19が58の片腕を掴み、もう片方は伊401に持たせる。
そして一気にベントそ開き、海面へと上がっていった。
「んっ... んぎぎっ! んむっ!」
58は必至に肛門を閉じようとするが、肛門はいう事を聞いてくれない。逆にいきむ度に肛門は開き、水着のお尻部分に一つ。また一つと卵のようにもこっと卵のようなうんちを産み落としていく。
「ふんっ…! ぎぃぃっ…!」
指定の水着は伸縮性が高い。ふとももを締め付けるように強いゴムが使用されており、そのためうんちは漏れることなく水着の中にむるむる広がっていく。
「———ぷはぁっっ!」
19と401の適切は判断の甲斐あって、とうとう海面に出た。
既に58の肛門は我慢することを放棄しており、太い太い排泄物はお尻だけでなく前やお腹、腰辺りにまでミミズばれのように駆けまわっていた。
空気を取り込むと同時に一気に踏ん張って肛門を開き、腹筋に力を入れて肛門の玄関前で荒れ狂っていた汚泥を一気に大海原へ放出した。
ぼごぼごぼごぼごっっ!
58を中心に海は茶色く染まり、大量の気泡がはじけた。
股の部分をずらしたら、アナコンダのウミヘビバージョンのようなぶっとい一本グソと、その周りに何個も握りこぶしのように大きな大便がぷかっと浮かんできた。どれもどす黒い色でとてつもない腐臭を漂わせており、辺り一面に卵の腐ったような臭いが立ち込めた。
その臭いに思わず19は鼻をつまむ。
「あうっ… ど、どれだけガマンしてたのね… なんて量…」
「い…1週間… んっ…!」
第2波が来たのか、また静かになって肩を震わせる。
そうすると茶色い海がまた広がり、今度は未消化のコーンやご飯粒が何個もぷかぷかと浮かんできた。
それを見て、401は合点がいった。
「あー… 昨日のアレ食べ過ぎて、お腹壊しちゃってたんだね… かわいそうに…」
そう58のお腹を撫でながら優しく呟いた。
「……全部出たかな?」
「うぅ… ごめんなさい… ガマンできなかった…」
「誰だってお腹痛いときはあるよ。みんなが襲われるのが怖かったんだよね」
58は静かに頷く。
「じゃあ、早く帰ろっか。ここにいたら、また前みたいにさんざんな目にあっちゃうかもだからね…」
「う… うん…」
そういって3人はその場を後にした。
その日、航空哨戒班の中で「とんでもなくでっかいウンコが海面に浮いていた。まるで大蛇のようだった」という話題で持ち切りになったが58の帰投ルートからは外れていたために彼女だとバレる事は無かった。