太る可能性が100%と判定された女子高生の話(2)
🕑 Added 2022-11-20 12:13:34 +0000 UTC
[2]
私は例の場所に行き、中にいた男性に話しかけた。
「太る可能性100%って……本当だったんですね……あはは」
「そうですね。高精度な機械を使っていますから」
こんなことなら最初から真剣に太らないように頑張れば良かったのに、私。
努力してたら太る量も変わっていたかもしれない。
安直に考えていた当時の自分に少し腹が立ってしまう。
でも前の行動を考えても仕方ない。
これから必要なのは元通り痩せること。
そう考えると本当に痩せられるのか気になってきた。
ダメ元で一回聞いてみよう。
「そういや……痩せる可能性って……分かったりしますか?」
「はい、それも測ってますよ。ただし2000円しますが」
測ってるんだ……そんなのも。
折角だから知りたい。2000円は少し高いけど……痩せれるという確証があった方が良いよね。
ただ、痩せられないと書かれてたらどうしよう……
「お願いします」
私は2000円を差し出してそういった。
男の人は受け取った後、またコップを持ってきて渡してくる。
「それではまずこの水を飲んでください」
前も水を出してくれたけど、サービスなのかな。
まあいいや。暑いからすぐ喉渇くし貰っちゃおう。
水を飲んでからまた前みたいに唾液を採取されて……
機械が色々動いて分析している。
凄い技術だよね……誰が作ったんだろう……
4分後に動作が止まり、出て来た紙を渡された。
今回は何て書いてるかな……ドキドキする。
『あなたの痩せる可能性は100%です』
「本当!?」
「はい、正確には99.9%ですが」
「嬉しいです!ありがとうございます!」
良かった!とても嬉しい。
前の太る可能性100%も見事にその通りだったし、今回もきっとそうなると思う。
だからきっと痩せるはず。
今回こそはダイエットも頑張らなくちゃ。
そんな感じで、結果を知ってとてもやる気になってきた。
この夏はちゃんとダイエットしよう。
「頑張って痩せます!」
「はい、頑張ってください」
「じゃあ失礼します」
私は気分が爽快になりながら駅に向かった。
あっ、あと1分だから間に合わない……でもいいか。
---
8月は蒸し暑さが本当に厳しい。
エアコンを付けないとまともに生活できないよ……
もうすぐ9月だけど暑さはまだまだ続きそう。
「(あっつい……しんどい……)」
私は汗ダラダラで学校に向かっている。8月いっぱいまで夏休みならいいのに……
もう暑くて暑くてどうしようも無いし、喉が渇いて辛い。
「(これ飲んじゃおう……)」
近くの自販機でジュースを買って飲みながら歩くことにした。
ついでに鞄に入れたラングドシャも食べよう。3時に食べようと思ってた分だけど……
それにしても……坂道を歩くだけなのにちょっと疲れる……
歩くたびに脂肪がブルブルとはっきり震え、脚もお肉がたぷたぷ揺れてしまう。
お腹もボヨボヨ制服の下で震えてるし、胸も大きすぎて重たいよ……
前までは走った時に贅肉が揺れるのが大変だったけど……今では普通に歩くだけでもこの様。
こんな感じで私は凄く太っていた。もう肥満体型そのもの。
制服は当然入る訳が無く、夏休み中に買い替えたけどそれでもちょっとキツいぐらい。
暑さと身体の重たさに耐えてやっと高校にたどり着き、教室に入った。
「藍璃、おはよう」
「おはよう……」
智里にもかなり低いテンションで挨拶してしまう。
もう暑いし怠いし嫌になってきた。
エアコンのおかげで教室は涼しい。みんなにとっては。
でも太った私にとっては少し暑く感じる。
だからこの暑さを忘れるためにお菓子を食べるしかない。
そんな感じでバクバクと色々口にしている私を、智里が心配そうな顔で見つめている。
「藍璃……まだ1時間目の休み時間だよ?」
「でも、お腹が……!お腹が、空いちゃって……」
学校でも休み時間毎にチョコだったりポテチだったり常に何か食べてる状態。
授業の間我慢するのが限界でお腹が常に減っている。
私はもうクラスメイトの目なんて気にすることも無く、ひたすらお菓子に手を伸ばしていた。
当然ジュースやコーラもよく飲んでいる。
今もチョコ付きポテチの袋を開けて、素早くポテチを掴んでは口に運んでいる。
その動作のたびに二の腕がプルプル揺れてるけど、そんなことは気にしない。
チョコの甘さとポテチのうす塩味の両方が舌に伝わってくる。
こんないかにも太りそうな食べ物がとても美味しくて、美味しくて……
もっと食べたい。お腹いっぱいになるまで。
もう空になってしまった。じゃあ次はどれにしよう……
「藍璃?」
「ち、智里……ごめん……」
あまりに食べるのに夢中になってたみたい。
「美味しいから……!仕方ないの……」
「あはは……そっか……」
智里は苦笑いを浮かべていた。
そりゃこんなにお菓子を必死に食べてたらドン引きだよね……私だっておかしいと思ってはいるけど……
「ダイエットは……してないよね……あはは」
呆れると言うか諦めの表情をしている智里。
何を言っても無駄だと思っているのか、どう感じているのかは分からない。
「痩せたいんだけど……食べたい気持ちが抑えられなくて……」
「ちょっとは抑えた方がいいよ……もう遅すぎる気がするけど。
全身どこ見てもお肉で溢れてるし、凄く柔らかそう……触ってもいい?」
「別にいいよ」
私がそう言ってから、智里はお腹とか二の腕とか、ほっぺとかを触ってきた。
「うわぁ……柔らかい……」
「そうでしょ?」
自慢気にそう言う私。
何も名誉な事じゃないしむしろ不名誉なんだけど……
「せめて週末ぐらいはジョギングした方が良いって。
これ以上は太らないで欲しいから」
「分かった……」
もうダイエットして痩せたらとかそんなことも言われないのが悲しくなってくる……
せいぜい現状維持をするぐらいしか期待されていない。
学校から帰って久々に体重計に乗ると84kgという凄い数字だった。
60kg台の頃の写真が細く感じるぐらいになり、見た目も完全に肥満体型になっている。
「(もうデブと言うか何というか……)」
鏡の中の私もとんでもない姿になっていた。
顔は二重顎で首が隠れるほどで、真ん丸でほっぺがかなりふくれている。
おへそ周りはデプッとした段々腹で、スパッツの上には山盛りの贅肉が重たげに乗っていた。
そのスパッツもどっしりしたお尻や贅肉だらけの太ももに引き伸ばされて今にも破けそう。
内股は擦れるし、椅子からはみ出るし、そんな感じで下半身も大変な事になっている。
胸も凄いサイズで制服越しでも主張が強いけど、あまりにも大き過ぎて邪魔で仕方ないよ。
太り過ぎて衣類は何もかもがキツくてサイズが合わない。
下着も困ってしまうし……ブラは胸が締め付けられて苦しいし、ショーツもお尻のサイズに合ってなくて小さい。
どちらも限界で買い替えないといけないけど……これ以上大きなサイズを買う所を誰にも見られたくないよ……
店員さんに測ってもらうのも恥ずかしいから……
私服も下着も既に何回も替えててこれ以上サイズアップするのは気が引ける。
……何でこんなことで躊躇してるんだろう私。お菓子を馬鹿みたいに食べる方にブレーキを掛けるべきだよね。
普段穿いてるスカートもファスナーが全然閉まらないし、安全ピン2つで本当に強引に穿いている。
そのスカートからはブヨブヨになった極太の太ももが顔を出していて、だらしなくて恥ずかしい。
Tシャツだって胸とかお腹の部分が引き伸ばされてるし……
油断したらおへそ周りがはみ出そうになる。
「(こんなに太るなんて……何で痩せれないんだろう……)」
ここ最近は凄い食欲で食べまくっている状態。
このままじゃ90kg、いや100kgまでブクブク太る一方だと思う。
ダイエットしなくちゃいけないのは分かってるのに……
私って痩せることができない体質なんじゃ……
……そういや、前確か2000円払って痩せるかどうか判定してもらったような。
その時100%痩せるって紙貰ったよね。
引き出しに……あった。
『あなたの痩せる可能性は100%です』
そう書いてあるけど……でも全然痩せてないし、むしろ激太りしてるんだけど……
本当にどうなってるの?太るのが100%はその通りだったのに……
もしかしてデタラメなんじゃ。
真相を確かめるためにもあの場所にまた寄らないと……