第1章 第四話
🕑 Added 2025-05-27 08:54:02 +0000 UTC
第1章「目覚めの草原」
⸻
第四話「踏まれた道」
朝の光は、思ったよりもやわらかかった。
ドロシーは目を覚ますと、少しだけ伸びをして空を見上げた。
身体が冷えていたせいか、肩に掛けていた布がくしゃくしゃになっていた。
草の香りが濃く、風の音も朝は静かだ。
「……夢……だったのかな」
夜の夢──あの黒い羽根の男。
はっきりとは覚えていない。ただ、あの視線だけが妙に心に残っていた。
立ち上がって、身体の土を払う。腹が鳴る。
「……何か、食べられそうなもの……」
草をかき分けながら進むと、ふと視界の先に、不自然に地面が踏みならされた部分があった。
草がすり減って、土が見えている。獣の通り道でもなければ、風の流れでもない。
──これは、人の足。
「誰かが、ここを通った?」
嬉しさと不安が交錯する。
けれど、進まなければならない。
その先に、誰かがいるかもしれないから。
ドロシーはそっと足を踏み出した。
一歩一歩、その「道」をたどっていく。
それは、確かに誰かの痕跡。
そしてその誰かも、もしかしたら──この不思議な世界で、ひとりだったのかもしれない。