~アマチュアプロレス~ 『いいわ。その視線、全部もらうから♡』 サンプル
🕑 Added 2025-11-04 01:35:06 +0000 UTC
※知らない内にシリーズ作になってました(^^♪
過去作を読み漁って頂けたら幸いです。
~アマチュアプロレス~ 『夫婦タッグ誕生』
~アマチュアプロレス~ 『人妻レスラー聡美の“プロレス♡”』
~アマチュアプロレス~ 『最高の試合♡ そして苦悩』
https://www.pixiv.net/novel/series/12790193
~本編~
江田はしばらく聡美の顔を見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。
「私はね、プロレスが好きなんです。ただ、それだけです。プロレスが楽しい。だからやる。それで、私は十分なんですよ。」
穏やかな口調で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「例え脚光を浴びなくても、観客がいなくても、私はプロレスを続けます。好きだからです。だからこうやって、この練習場を開いて、みんなと一緒にプロレスをやっているんです。」
励ますような笑顔を向ける江田。
聡美はその言葉に頷き、無理に笑みを作って返事をした。
「……はい、そうですね。」
だが、その表情からは明らかに納得していないことが伝わった。悔しさが滲み出ている。
・・・・・・・・・・。
――それからさらに数ヶ月が経ち、初めての試合からはもう一年が経とうとしていた。
二人は変わらず練習場に通い、練習を続けていた。
光明は相変わらず楽しそうだった。技を受け、投げ、受け身を取る。そのたびに笑い声をあげ、仲間たちとも和気あいあいとした雰囲気でプロレスを楽しんでいた。
しかし、聡美は違った。
技をかけられても、受けても、どこか気持ちが入っていない。笑顔もない。ただ、義務のように動きを繰り返しているだけだった。
そんな彼女の様子を見かねて、光明が声をかけた。
「お前、最近あんまりやる気ない感じだけど……大丈夫か?」
すると、聡美は不貞腐れたように答えた。
「……いいでしょ。別に。」
その投げやりな態度に、光明は苦笑しながら肩をすくめる。
「おいおい、なんだよその言い方。俺、なんか気に障ること言ったか?」
ユーモアを交えて話しかけようとしたその瞬間、聡美は苛立ったように声を荒げた。
「試合もないのに、こんな意味ないことして……何が楽しいの?」
その言葉に、光明は少し驚いたように聡美を見た。
「意味ないことって……。」
「だって、そうでしょ? いくら練習しても、もう試合なんて出来ないし。だったら、こんなの続けてても無駄じゃない。」
聡美の声には、焦りと苛立ちが混じっていた。
光明はしばらく彼女を見つめたあと、落ち着いた口調で言った。
「そもそもさ、俺たち、試合がしたくてここに来たわけじゃないだろ? 俺はただ、新しい趣味を探してて、たまたまたどり着いたのがここだった。それで、楽しいから続けてる。それだけで、今でも十分じゃないか?」
「じゃあ、試合なんてしたくないって言うの!?」
聡美は光明に噛みつくように言った。
光明は少し困ったように頭をかきながら、それでも笑って言う。
「いや、試合は楽しかったよ。でもさ、試合ならほら、練習場でもできるじゃないか。」
「……っ!」
その呑気な返答に、聡美の怒りが爆発した。
「そんなの、全然違う! 本物の試合と、こんな練習でやるのとじゃ、全然違うじゃない!」
「まあ、そりゃ違うけど……」
「もういい、今日は帰る!」
そう言い捨てると、聡美は乱暴にバッグをつかみ、練習場を出て行こうとする。
仲間たちは驚いたように顔を見合わせ、心配そうに声をかけた。
「聡美ちゃん、大丈夫?」
「何かあったの?」
しかし、聡美は振り返らず、そのまま練習場を後にした。
光明は小さくため息をつきながら、扉が閉まるのを見届けた。
仲間たちはそんな彼の様子を見て、気遣うように声をかけるのだった。
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