~父親でいる為に~『行ってらっしゃ~い♪…クソオバサン♡』 サンプル
🕑 Added 2026-01-22 15:03:26 +0000 UTC
過去作↓
#15 ~父親でいる為に~『とりあえず、トイレのドア…閉めた方が良くない?』
#16 ~父親でいる為に~『どんなに私を拒もうと、結局は……私のものになるの。』
#17 ~父親でいる為に~『お父さんの育てた…大切な一人娘…。』
https://www.pixiv.net/novel/series/12790193
こちらに他の作品と合わせて保管してあります。
よろしければどうぞ(^^♪
~本編~
数ヶ月が過ぎ、季節は穏やかな春に移り変わっていた。あの夜以来、輝人の日常は表向きは何も変わっていないように見えた。仕事は相変わらずリモート中心で、朋子は忙しいながらも家族を気遣う優しい妻のままだ。そして瑞希は、大学生活を楽しみながら、家ではいつものように無邪気で甘えん坊の娘を演じている。
朝の陽光がリビングに差し込む中、三人はテーブルを囲んで朝食を取っていた。朋子が作ったシンプルな和食——ご飯、味噌汁、焼き魚に卵焼き——が並び、湯気が優しく立ち上る。輝人は新聞を広げながらコーヒーを啜り、時折家族の様子をチラチラと窺っていた。
朋子が味噌汁のお椀を瑞希に渡しながら、柔らかい笑みを浮かべた。
「瑞希、今日の授業は何時から? 最近忙しそうだけど、体調は大丈夫?」
瑞希はスプーンを手に取り、卵焼きを一口かじりながら、明るく応じる。彼女の声はいつも通り軽やかで、朋子の目をまっすぐ見て話す姿は、まるで理想の母娘像のようだった。
「うん、今日は午後からだからゆっくりできるよ。お母さんこそ、昨日遅くまで仕事してたよね? 無理しないでね。ほら、この卵焼き、ふわふわで美味しい! お母さんの手作りがいちばん好きだよ〜」
朋子は照れたように頰を緩め、瑞希の髪を軽く撫でる。
「ありがとう。でもあなたも、ちゃんと栄養取ってね。大学生活も、楽しんでるみたいでよかったわ。最近友達と遊んでる話、聞かせてよ。」
瑞希はくすっと笑い、輝人の方を一瞬だけチラリと見てから、朋子に視線を戻す。その目は無邪気さを装いつつ、どこか計算された輝きを帯びていた。
「友達とはカフェ巡りとかしてるよ。昨日も新しいところ行って、抹茶ラテ飲んだの。お母さんも一緒にどう? 今度三人で出かけようよ。お父さんも、仕事抜きでさ!」
輝人は新聞から顔を上げ、穏やかに微笑むふりをしながら、瑞希の言葉に胸がざわつくのを感じた。彼女の視線が自分に向けられるたび、喉が乾くような緊張が走る。だが、表面上は平静を装い、短く応じた。
「ああ、いいな。時間が合えばな。」
朋子は嬉しそうに手を叩き、家族の団欒を楽しむように続ける。
「じゃあ、週末に予定立てましょう。久しぶりにみんなで出かけるのもいいわね。」
瑞希は朋子に寄り添うように肩を寄せ、甘えた声で頷く。
「やったー! お母さん大好き!」
そんな穏やかな朝の光景は、まるで何事もなかったかのように続いていた。だが、輝人の心の奥底では、瑞希の視線が時折放つ意味深な光が、静かな嵐を予感させていた。彼女の笑顔の裏側に、何が潜んでいるのか——それは、まだ誰にも知られていない秘密だった。
朝食の時間が終わり、朋子は立ち上がってエプロンを外した。彼女はいつものように軽やかに動き、キッチンを片付けながら家族に声をかける。
「さて、私もそろそろ仕事に行かないと。」
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