なろうに投稿したい文02
🕑 Added 2019-09-08 10:11:19 +0000 UTC
前回の続き
「THE なろう」にしようと思って突拍子も無い設定にしてます。
タイトル:01.コロナキ村のエリナ
5時間くらい走り続けて、漸く森を抜けた。
不思議なことに全く疲れを感じない。足も痛くない。脇腹も全く痛くならなかった。
フルマラソン以上走っても疲れないなんて、『アイツ』が俺の身体に何かしたのだろうか?
それでも息は上がるから、口の中は乾くけど。
先は草原になっていて、奥の方に丘があり脇を小川が流れている。丘の上は石垣が積まれていて、街道と門のようなものが見える。
「人が居そうだな」
草原に脚を踏み込んだとたん、足元の草が大きく成長していく。
「何だ? 変な草だな」
走ると俺が通ったところがはっきりとわかるくらい成長した草のラインが出来る。
視界が遮られて煩わしい。
とにかく門の向こう側へ行きたい。気が早り脚にグッと力を込めた。
「……はっ?」
気づけばいつの間にか俺は上空に居た。
真横には雲、真下には先ほどまで俺が居た草原がある。
「あああああああ?! おっ、落ち…ああああああああ!!!」
何が一体どうなってるんだ?! 何で俺飛んで落ちてるんだ?!
わけがわからねえええ! なんだってんだよおおおお!
地面が目の前に迫って死ぬって思ったその瞬間、目を閉じて衝撃に備えたが衝撃が来ない。むしろ浮遊感を感じた。
「大丈夫ですか?」
声が聞こえ、目を開けると女の子が首を傾げていた。
***
「私、エリナっていいます」
女の子……、エリナは漫画とかアニメに出てくるような魔女の格好をしていた。
この世界にも魔女なんてもんがあるのか。まあ、イセカイってやつだし何でもありか。
とにかく、人に会えてよかった。
「俺は紳二っていいます。助けてくれたんすよね? ありがとうございます」
「いえいえ。ナオヒトさんは何で落ちてたんですか? 私、草原でお昼寝をしてたら叫び声が聞こえてびっくりしちゃって」
「いや、俺にもわからないっつーか……、ああ、さーせん、お昼寝の邪魔をしてしまったみてえで」
「ふふふ、気にしないでください。んー、トラップでも踏んだのでしょうか? この草原ではそういった類のものはないはずですが。ん、……おや、ナオヒトさん、魔力が駄々洩れですよ。足元の植物がみるみる元気になってます」
魔力? ゲームなんかで出てくるMPみたいなもんか? それだと魔法に使うエネルギー、とかなんとか。
「……あの、実は俺、この世界の人間じゃなくて、色々よくわかってなくて、その……」
「おや、異世界の人でしたか。どうりで魔力をコントロールできていないのですね」
試しに言ってみたけど、この反応は異世界人はザラにいるみたいな感じだな。ってことは俺みたいにここ異世界飛ばされてきたやつもいるかもしれない。少し気分が高揚する。
「では『——様』のお導きでしょうか」
「? 悪い聞こえなかった」
「『——様』ですよ」
「??? さま、の前はなんて言ってるんすか」
「あれれ、『——様』ってばナオヒトさんの導き手ではないのでしょうか」
「……すんません。なンか聞き取れないんす」
「なるほど。……ここではどんどん植物が大きくなってしまいますので、場所を変えましょう。村にご案内します」
「すんません。助かります」
……、俺はきっとここでも良い存在じゃあないんだろうな。『アイツ』は「許されてる」、と言っていたし。
エリナに続いて先ほど見かけた門の中に入った。
門の内側は村になっていて、小さいが綺麗な家がたくさんある。
それから、エリナみたいな魔女の恰好したババア…いや、女性ばかり歩いている。露店の店員もみんな女、ここは女しかいないのか?
「ここは、コロナキ村といいます。魔女が住む村で、南にある聖人(ハイリゲ)の森の管理と薬草の栽培・製薬で産業が成り立っていて、私はポーションを作っています。よく効くと評判なんですよ! ナオヒトさんおでこを少し擦りむいているので、ポーションで治療しましょう」
「ありがとうございます」
ポーション……、確か回復薬だっけか。
こういう情報は漫画やらゲームやらやってたらすぐ飲み込めるのかな? 俺は片親だったしお小遣いも少なかったから、同級生の家で時々見せてもらうだけだったんで、噛み砕くのに時間がかかる。
「とりあえず、私の家に行きましょうか。そこでお話、聞かせてください」
「すみません。お邪魔します」
エリナの家はこざっぱりした、これまた他の家より小さな家だった。
正直、女の子の部屋に入るのは生まれて初めてなので少々緊張していたんだが、物が少なく、生前の俺んちと大して変わらなかった。違いといえば少しいい匂いがするくらいで。
「お茶どうぞ」
「ありがとうございます」
淹れてもらったお茶をいただく。散々走り通した後で喉が渇いていたので助かった。
「ふふふ。おかわりどうぞ」
「ありがとう。超うめえっす」
エリナが淹れてくれたお茶は何となく緑茶っぽいが、ジャスミンみたいな花っぽい香味が残り、少し甘くて飲みやすかった。お世辞でなく美味い。もう一杯くらい欲しかったが我慢した。
「実は、お茶にポーションを混ぜてたんです。おでこの擦り傷も完治していますよ」
「えっ? マジっすか?」
デコを触ってみるが確かに傷が無くなっている。痛みが消えたような感覚はあったが、他に何の感覚もなかった。
エリナが自慢するだけあって効果は目を見張るものがあるようだ。
「すげえ! 何もなくなってる!」
「えへへ……凄い効き目でしょう?」
「はい! 雑味も無かったし、子供も楽に飲めそうだ」
「そうなんです! そここだわってて! 今までのポーションは苦いものが多くて、特に小さい子は飲んでくれなかったんですけど! 私が開発したこのポーションは少し甘みもあって、無臭なので幅広い層の種族や性別・年齢に対応してまして、量産化するのが少しネックなんですが、いずれレシピを公開してみんなが作れるように……、はっ?! すみません! ポーション作りに関することには熱くなっちゃう癖で……」
エリナが髪を指に巻き付けながら頬を赤らめ照れている。可愛い。
いい夢をもってるんだな。俺にはまだ見つけられてない情熱だ。ここで何かそういったものが俺にもみつかるかな。
本当に至れり尽くせりで、エリナには後で何かお返しをしないといけねえな。
「こほん、で、では、まず、ステータスの表示をお願いします」
「ステータス?」
「はい。……あ、表示の仕方ですね。私のステータスをお手本に表示してみます」
エリナが何かを撫でるような動きをすると、空中に画面が現れた。すげえ!
―――――――――――――――――
名前:エリナ・ファレノ(46) 性別:女
人種:魔女 職業:薬剤師
Lv.39
力:32 防:40
魔:106 速:69
スキル:風操作・真空刃・分析・分離・結合
―――――――――――――――――
ス、ステータスってのは確か、個人情報そのものだよな?
(46)(46)(46)(46)(46)……。
…………この括弧書きの数字、年齢以外には考えられないんだが。え?
母ちゃんと大して変わらねえぞ。見た目は高校生くらいなのに。ババ…いや、熟女やん。
人種ってのが魔女になってるから、人間じゃねえんだな?
(46)に動揺しつつ、同じように手を動かしてしてみたら簡単に出た。
―――――――――――――――――
名前:兎洞紳二(19) 性別:男
人種:元人間 職業:求職中
Lv.48
力:9887 防:6535
魔:0000 速:1182
スキル:分配・強化・夢中・理解・掌握
加護:ウヌム・ヌーメン
―――――――――――――――――
ああ、アレやっぱり年齢じゃねえか。ってことは魔女ってのは寿命が長いんかな。さっきババア……、あああちげえ熟女、熟女? の魔女も見かけたから不老って事でもないようだし。
そして思っていたより俺のレベルが高い。が、そもそも標準的なステータス値が分からないので見たところで特に感想はない。
エリナに見てもらうほかに判断もできない。
「出せました。どうっすか?」
「わあ、ナオヒトさん凄く能力値高いですね……、ん? え??? 魔力0? こんなに魔力が漏れているのに……何か変です。それにスキルも。見たことがないものばかり。……ちょっと分析させていただきます」
「? お願いします」
分析するってのはさっき見たエリナのスキルでやるのか。色々と便利そうだな。
何かぶつぶつ言いながらステータス画面を操作している。
気になるのは分配と夢中と理解ってスキルだな。どう使うものなのか。
未知の能力に少し期待しつつ、エリナの分析結果を待った。
***
『やっぱり神さまには及ばないなあ』
二人も駄目だったよ。記憶を移し損なった。
彼女は分かるけど、彼はどうしてだろう?
ちょっと興味が湧いたので、少々観察してみる事にする。
『降りてみよう』
指を鳴らすと、ヒトに化ける。
彼の心の内と行動を見易くなった。
よし、行こう。
彼の記憶を先ず探っていこうかな?きっと解こたえに辿り着くはずさ。
兎丸櫟麻(とまるれきお)さん。貴方にとって兎洞紳二さんはどういう人だったのですか?
私の力を跳ね返すほどの強い想いとは、どういったものなのですか?
私は貴方に興味があります、ので、少し覗かせていただきますよ。
***
「ああっ、……あああああ! なんてこったあああ!!!」
「?! え? どうしたんすか?」
エリナは頭を抱えるとのたうち回った。
分析が終わったようだけど、何か困ったことが分かったらしい。
涙を浮かべてエリナは俺を見た。は? 俺なんかしたのか?
「ナオヒトさん! 貴方っ、ま、…魔神じゃないですかあ!」
「…はあ? マジン? って、どういう意味っすか?」
「文字通りの魔族の神ってことですよ! な、ななななナオヒト様!」
「ちょ、? 何でそうなるんすか? 俺が神? なんでや!」
派手な音を立ててエリナは俺にひれ伏した。
やめろ、やめろよ! クソ!
……冷静、冷静になれ俺。
エリナが何か勘違いしているのかもしれないし。
「え、エリナさん? 俺が魔神だという理由を教えてほしいんす。顔を上げてください」
「はははははいっ…! ナオヒト様」
様付けもやめてほしいとこだけど、そこより俺が魔神だという根拠が知りたいんで堪える。
エリナは深呼吸すると立ち上がった。
「な、ナオヒト様のステータスを分析させていただいた結果、表示されているのが、ごく一部だということが分かりました。
―――――――――――――――――
名前:兎洞紳二(19) 性別:男
人種:元人間 職業:求職中
Lv.48
力:9887 防:6535
魔:0000 速:1182
スキル:分配・強化・夢中・理解・掌握
加護:ウヌム・ヌーメン
―――――――――――――――――
現在このように表示されておりますが、上から順にご説明させていただきます。
「名前:」と「性別:」を省いて、先ず、「人種:」という項目ですが、元人間と書かれています。つまり、現在は人間ではないということを示しています。次に、職業とレベルを省き、「力:」「防:」「魔:」「速:」の項目についてですが、この数値に関しましては4桁の数字が下4桁だということがわかりました。正しい数値は申し訳ありません、私のスキルでは分析しきれませんでした。続いてスキルですが、「分配」のスキルはナオヒト様の魔力等のエネルギーを分け与えたりすることができるようです。例えば、「強化」のスキルは文字通り人や物を強化することができますが、そのスキルの効果まで一時的に分配することができるようです。「夢中」は相手をナオヒト様にこれまた文字通りですが夢中にさせる効果があります。敵に使えば攻撃やヘイトを自分に集めたり、味方に使えば統率がとれるようになります。意中の者に使えば媚薬や惚れ薬のような効果もありそうです。「理解」は知らないはずの文字や言葉が分かるようになったり、状況・構造などを読み解くことができるようになります。「掌握」は……、つまり、全てを支配下に置き操れるという、魔神にふさわしいスキルで、何よりナオヒト様が魔神である証拠というのが「加護:ウヌム・ヌーメン」です。ウヌム・ヌーメンというのは、全次元を統べる唯一神のことで、ウヌム・ヌーメンの加護を受けているのはエレメントの神々と魔神・大天使のみといわれていて、魔神は唯一人間だったものから誕生し、この世界を治める存在と伝えられています。ので、総合すると、ナオヒト様は魔神であるという結論に至りました」
……聞いといてなんだが、めっちゃ長い。俺は短気だからこんな風になっちまったんだよ。そして、高校の頃は赤点常連の馬鹿だったんだ。つまり、あまり理解出来てない。何となくわかったのは面倒になりそうだってことだ。俺は真面目に普通に生きるつもりで、『アイツ』との取引を呑んだ。勿論母ちゃんのことが主だが。こんなの、俺が抱えられるモンじゃ明らかにねえ。
「エリナさん」
「はい!」
「今の話無かったことにできねえかな?」
「ええええええ?!!」
「誰にも言わねえでいておいてくれませんか? 俺、本当にただのクソ人間だったんだ。立派なやつになりたかったと後悔してるけど、立派ってこういうことじゃねえんだ。人の痛みがわかって、努力が出来る、そんなやつになりたかったんだ。ここに転移して生きることが許されて、一番その姿を見せたかった人はもういねえけど、ここでやり直しができるから頑張ろうって思ってたんす。だから……」
「…………。ああ、ナオヒト様、言葉になりません」
「無理強いはしねえから、出来たら、でいいんす。お手間とらせてすんません」
「……承知しました。私、誰にも言いません! ただ、ひとつ、厚かましくお願いをさせていただいてもよろしいでしょうか」
「ありがとう。助かります。エリナさんにはお世話になってるし俺ができることなら何でも」
「今は、戦争もなく、安寧な世です。しかし、平和のバランスが崩れ、世界が不安定になったとき、ナオヒト様のその力を揮うと約束していただけませんか? 私は、人の治癒に携わる身です。争いを治める力のある方を知っているのに、争いを見過ごすことなんてできないのです。誰かが傷つくのは見たくない」
俺が、本当に魔神なら、そうすべきなのかもしれないな。今まで争いの中心にいたのに、こんなこと願われるなんて。
全次元を統べる唯一神様は何を思って俺に加護なんて与えたのか。
「わかりました。約束します」
ここまで。
主人公を初っ端から神にしてみました。
*メモ*
ハイリゲ=ドイツ語(Heilige)聖人
コロナキ村=ギリシャ アテネの地区名
場所名は全てギリシャ・トルコで統一したい。
加護:ウヌム・ヌーメン(Unum Numen:ラテン語)意味:唯一の神威、一つの神・精霊
力:9887(黄金比)1:1.6180339887右側の小数点以下10桁
防:6535(円周率)π = 3.1415926535小数点以下10桁
魔:0000(666の約数に下四桁0000)1,2,3,6,9,18,37,74,111,222,333,666
速:1182(リュカ数最初の部分項)2, 1, 3, 4, 7, 11, 18, 29←最初の10
レベルが上がるにつれ桁が増えていく方式